第4章 死神編【前編】
「わざわざ悪い。直接四番隊向かったんだけど、治療中だつって入れてもらえなくてよ。」
海燕と会話を交わしながら隊舎へ入り廊下を進む。最後に会った時と全く変わらない彼のフランクな態度に何処か安心した。
「隊長、入ります。四番隊から報告書届きましたよ。」
「助かるよ……あれ、ゆうりじゃないか!」
「お久しぶりです浮竹隊長!お身体の具合はどうですか?」
「問題ないよ。報告書を持ってきてくれたのか?」
「はい、お待たせしてすみません。」
執務室で書類に筆を滑らせていた浮竹が顔を上げると海燕だけかと思いきや隣に立つゆうりと目が合い驚いた。
筆を置いた浮竹の元へ歩み寄り持っていた封筒を手渡すと彼は直ぐに開封し中身に目を通す。
一通り読み終えるまでゆうりも海燕も黙っていた。神妙な面持ちで書面を見詰めていた浮竹は、全ての紙に目を通した後表情を和らげる。
「良かった、全員無事のようだ。処置者の名前を見て驚いたが…もう卯ノ花隊長に治療を任されるようになったんだな。」
「お陰様で。卯ノ花隊長のおかげでだいぶ回道を使えるようになりました。今日隊の子に教えて欲しいとも言われたんですよ!」
「へぇー、すげぇじゃねぇか。何も出来なかった癖に随分成長したんだな。」
「いてて……もう、海燕さん乱暴なんですけど…!」
「海燕副隊長だ、副隊長!」
「海燕副隊長ー!」
がしがしと頭を撫でられゆうりは眉を寄せた。彼はそんな彼女の反応を楽しんでいる様で終始笑顔が耐えない。ゆうりも海燕と話し、戯れるのは嫌いでは無かった。まるで兄妹のような姿に浮竹は微笑ましく見守る。
「数年ぶりの再会の割に昔と変わらないなぁ、お前達。」
「海燕副隊長はもう少し私の事を女性として扱って頂いても良いんですけどね?」
「おっ、なんだ。子供扱いされるのが嫌ってか?」
「当たり前ですよ!成長したのは強さだけじゃないんですからね!」