第4章 死神編【前編】
そんな時、今までとは少し変わった客が訪れる。ピンクを基調とした派手な女羽織を着た男。
「やぁ、ゆうりちゃん!久しぶりだねぇ。昨日は随分派手にやらかしたそうじゃない。元気そうで安心したよ。」
「京楽隊長!お久しぶりです。その事に関してはもう耳が痛いので勘弁して下さい…。」
「はは、卯ノ花隊長にこってり絞られた後だったかな?」
愉快そうに笑う京楽と対照的にゆうりは苦々しく顔を歪める。読んでいた本を閉じて机に置くと早速準備へ移った。
「今用意するので待ってて下さい。」
「ゆっくりでいいよ、ただ君と話に来ただけだからねえ。…少しの間この部屋を借りる事は出来るかい?」
「…えぇ、分かりました。」
伏し目がちに向けられた視線に何かを察したゆうりは頷くと、部屋に居た他の隊士達を1度休憩に出させる。CLOSEの看板を部屋の前に立て、完全に2人だけの空間を作った。
京楽は施術用のベッドに腰掛けゆうりは近くの丸椅子に座る。
「…どうだい、新しい環境は。もう慣れたかい?」
「お陰様で…まだ戸惑いは有るけど…受け入れる事は出来ました。」
「そうか、それなら良いんだけどね。聞けば、霊術院に通っている頃からずっと探っているそうじゃないか。居なくなった隊長、副隊長達について。」
「誰からお聞きになったんですか?」
「七緒ちゃんだよ。よく書庫で君を見掛けるって。資料庫と…恋愛小説だったかな?あの辺を良く見ていると聞いてピンと来たよ。」
「七緒ちゃん…気付いてたなら声掛けてくれれば良いのに。」
「本を見ている時いつも真剣で、辛そうだったから掛けられなかったってさ。……さて、ここから本題だ。」
真剣な眼差しにゆうりは息を飲んだ。何を言われるのかと心がザワつく。
「浦原くんは生きているよ。他の隊長達も恐らくは…ね。」
「!!」
ゆうりは目を大きく見開いた。浦原は生きている…?死んでは無い、それだけ分かっただけでも大きい。希望が出来る。
「浦原くんもウチのリサちゃんも、そう簡単に死ぬようなタマじゃないからね。何処に居るかは分からないけどさ。」
「なんで教えてくれたんですか…?総隊長命令で、口外禁止と聞いています。」
「いやぁ、見てられなくて。」
「え?」