第1章 事の始まり
「……まぁ今ここでぐだぐだ悩んでても仕方ねぇか。後程よく考えるとする。…取り敢えず自己紹介がまだだったな。俺は此処の審神者、名を龍海という。これから宜しくな」
少し流れた沈黙に少し気まずく感じてしまう。ここまで考え込ませるとは思ってなかったのだ。私が来てしまってすまない、というか寧ろこうさせた原因であるのは私だから速やかに消え去りたい、そしたら万事解決だ。そんな何とも鬱な思考が脳内を埋めつくし、被っていたらしき白い布で己の顔を隠し、眉を下げながら動向を見守っていたら突然和装の人は手をぱんぱんと叩いては一気に話を終わらせては自分に挨拶してくれた。そんな彼に少し吃驚してちょっとだけ、目を見開く。だって、このまま思考タイムが続くと思っていたのだから。
「宜しく頼む……が、写しである俺に、期待はするな」
「さぁ、それは俺次第だな!」
挨拶されたらしっかり返すもの。ということで挨拶しては小さく礼をする。因みに言葉ではああ言っていますが内心全然思ってないのでそこまで気にする必要はないです、えぇ。
「……じゃあ取り敢えずそうだな…。来たばっかりだ、折角だしまんばと共に本丸探索でもしてこい。生憎俺はやることがあって行けないが…最古参のまんばが居れば大丈夫だろう」
取り敢えずもうこれでお話は終わりらしく、ほら、行ってこいと主は自分達に手を振っている。それを見ながらどうすればいいかと戸惑った顔をして山姥切さんを見れば、彼はこくりと頷いては行くぞ、と声を掛けてくれる。有難いそのお言葉に返事を返し、本丸って何が有るのだろう、他にはどんな人が居るのかな、何てわくわくしながら一歩踏み出した次の瞬間。
「新しい国広が来た気がしたんだけど!!!!」
突然スパァァァンととてつもない勢いで閉まっていた筈の襖が開いては誰かが叫びながら登場した。
…え?どういう状況だ、これ?