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恋に落ちて 〜織田信長〜

第73章 来年の今頃は 〜お正月sp〜



「湯治って、どこへですか?」

「前に二人で行った例の別宅だ」

「ああ、あの…」

ここからそう遠くない場所にある、確か、贔屓にしている商人が愛人との住まいとして建てたのが奥様に見つかり、住めなくなったから買って欲しいと言われて買った、湖の望める温泉付きの一軒家の事?


「明日から二日間だが休みを取った。貴様と二人、夫婦水入らずで行きたい」

子供達を寝かしつけた後、私の膝の上で寝転がりながら、信長様は私の片手を取り指を絡ませ、少し甘える様な声で言った。

「っ……でも、明日は元旦ですよ?」

そう、明日は新年で、私達は今、除夜の鐘をBGMに二人の時間をまったりと過ごしている最中。

「正月の挨拶は三日から受け入れる。心配はいらん」

「じゃあ子供達も一緒に——」

「二人だ!此度、奴らは連れてはいかん」

「でもっ、んっ!」

身を起こした信長様は、私の頭の後ろに手を当てすかさず私の口を塞いだ。

「んぅ……」

急な口づけに驚く間も無く舌が唇を強引に割って入り込み、呼吸を奪っていく。

「ん、…ん」

男らしい口づけは、信長様の胸を叩いて苦しさを訴えてもなかなか離れてくれない。

「んっ、ホントに死んじゃいます」

漸く口に出して訴えた後、ちゅく、ちゅぅぅーーと、強く吸われ、やっと暴れん坊な唇は離れた。

「はっ、…ぁ、…はぁ、はぁ、」

(毎度毎度、殺す気だろうか?)


「二人と言ったら二人だ。否とは言わせん」

「っ……」

思い通りにいかないと強行手段に出る所は、三歳になったばかりの吉法師と何ら変わらない子供のようで、それが余計に可愛く愛おしく思えて、私は言うことを聞いてしまう。

「分かりました」

吉法師は侍女に預けても泣かなくなったし、紗菜もある日いきなり母乳を拒否されてからは離乳食が進み、夜の心配もあまり無くなった。
(母としてはもう少し母乳をあげていたかっただけに、突然の彼女からの断乳に寂しさを覚えたけど…女の子ってこんなものなの?)

だから、二人を預けて一泊してもサポート体制がしっかりしているから何の問題はないけど、実践した事がないだけに心配だ。




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