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恋に落ちて 〜織田信長〜

第72章 夫婦の絆〜信長様誕生日sp〜



私にどうしろって言うの?

目の前の赤ちゃんは、何も知らずに「だぁ」と天使の様な仕草を見せている。

この子に何も罪はない。

悪いのは………


う—————————、何だかムカムカして来た。

要するに私は、信長様が勝手に地方に行って情を交わした女性との間にできた子をこれから我が子として成人するまで育てろって言われてるのよね?


上等じゃない!


「分かりました。赤ちゃんは私が責任を持って引き取ります」

「まことでございますか?ありがとうございます」

「いいえ、正室として当然ですもの。オホホホホ」

こんな笑い方をしたのは生まれて初めてだ。

そして今年の信長様のお誕生日も何だか一波乱の予感………


信長様、とりあえず帰って来たらお仕置きよ———!






・・・・・・・・・・

夕方になり、信長様がお城へと無事戻って来た。

「アヤ戻った」

「信長様、お帰りなさい……」

二か月以上ぶりに見る勇ましい姿に胸はキュンとなり、自然と足は信長様に抱きつこうと駆け出してしまう。

けど……

(ダメダメ、まずは事実確認をしないと)

抱きついてしまうとそのまま褥にもつれ込みそうで、抱きつきそうになる手前で足を止めた。


「どうした?」

自分の置かれた状況も知らず、信長様は私に微笑み抱き寄せようと手を伸ばす。

「待って下さい」

「待たぬ」

「まっ、…んぅ……」

逞しい腕に捕らわれあっと言う間に唇を奪われた。


「ん………」

二カ月以上ぶりのキスは離れていた時間を埋めようと余裕なく私の口内を動き回る。

「っ……ん…」

信長様の私を思う気持ちが、重ね合う唇や口内をくすぐる舌から伝わってきて、トゲトゲした心が溶かされて行くけど、どうしても確認しなければならないことがあり私はそっと胸を押して唇を離した。


「………アヤ?」

「さ、先に生まれた子に会ってください」

私の態度に訝しげな顔を見せた信長様だけど、

「そうだな。して子はどこだ?」

すぐに笑顔を見せた。



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