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恋に落ちて 〜織田信長〜

第71章 夢が見せる奇跡 〜年末年始特別編〜



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次の朝目覚めるともう明るくて、信長様の姿もなかった。

「……え、私寝坊した……っ!?」

吉法師の姿も見えないから多分そう言うことだ。

「あー、新年早々やっちゃったぁ〜」

私が母になっても変わらないことの一つはこの朝に弱い所…

朝方まで信長様の腕の中で酔わされていたのならともかく、ぐっすりと眠らせてもらったのに寝坊とは情けない。しかも吉法師の面倒も見てもらってる……?

飛び起きて急いで支度を済ませゆっくりと階段を降りて広間へと向かった。


「信長様っ、ごめんなさいっ!」

広間に入ると、信長様と吉法師がやはりいた。

「気にするな、それよりも貴様に客だ」

「え?」

そう言われ手で示された方に顔を向けると……


「……えっ!」

そこには、絶対にいるはずのない母の姿が……

「おっ、お母さんっ!」

「アヤ、元気そうね」

変わらぬ母の笑顔……、

「お母さんっ!」

身重である事も忘れて駆け寄り抱きついた。

「まぁまぁ、お腹に赤ちゃんがいるのにこの子ったら、それに相変わらず朝は弱いのね。本当に困った子」

私を抱きしめてお母さんは笑う。

会いたかった。本当に会いたかった!

「お母さん、私何も言わずに居なくなってごめんなさい。親不孝な娘でごめんなさい」

そしてずっと言いたかった言葉…

あの日、安土桃山城跡地でワームホールが現れ、私は信長様と生涯を共にすると決めて迷うことなく飛び込んだ。

後悔はない。ただ、両親に別れを告げられなかったことだけは心にずっと引っかかっていて、自分も子を産み母となってからは、母としての気持ちを思うと特に胸が痛んだ。

「アヤ、顔をよく見せて」

体を少し離してお母さんは私を優しく見つめる。

「幸せなのね。顔を見れば分かるわ」

「っ、……うん、幸せだよ。あ、あのね、私の旦那様の信長様と、私たちの子供の吉法師、それに今二人目がお腹にいるの」

「ええ、あなたが来る前に信長様に聞いたわ。もう臨月なんですってね」

「そうなの…もうすぐ二人目が生まれてくるの……」

(それでね、お母さん、私…少し不安なの)

「どうしたの?不安そうな顔をして…」

私の心を見透かしたように母は私の頬に手を添えて笑った。




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