第69章 私の育った故郷では 〜信長様誕生日sp〜
「体の具合はもういいのか?」
私を褥に押し倒しておきながらも、信長様は気遣いを見せた。
「はい。…ふふっ」
「何がおかしい?」
「だって、今日の信長様は優しいから」
「聞き捨てならんな、俺はいつだって貴様には優しいだろう?」
本当に聞き捨てならないんだろうな、少し拗ねた顔が可愛くて愛おしい。
「そうですけど、でもお腹に二人目がいるって分かった夜だって、聞かなかった事にするとか言ってたじゃないですか」
夜明けまで容赦なかったし…
「あれは致し方あるまい、しばらく京に行かなばならなかったからな。貴様に触れられんのは死活問題だと言ったはずだ」
「なのに今日は気遣ってくれるんですか?信長様の誕生日なのに?」
信長様が我慢する姿は本当に珍しい。(失礼かな?)
「本音を言えば抱きたいが、貴様に無理はさせられん」
「ふふっ、体調は大丈夫です」
私は信長様の顔を引き寄せて口づけた。
「お誕生日、おめでとうございます。今年もまた一緒にお祝いできて幸せです」
「貴様に出会ってから、この日が待ち遠しいと思うようになった。そう言えば、探し物は見つかったのか?」
信長様は私の寝間着の紐を解きながら、思いがけない質問をした。
「探し物って…何の事ですか?」
「ふっ、もう忘れたのか?それとも諦めたのか?」
紐を解き終えた信長様は、手を伸ばしてたとう紙に包まれた着物?を引っ張って来た。
「これは ?………あっ!」
もしかしてこれ、エロ襦袢今年度バージョン!?
って言うか来年もやっぱりあったの!?
私は袷を両手で閉じながら体を起こしてたとう紙を見つめた。
「こっ、これ、どこに隠して…」
この部屋も針子部屋も広間も蔵も隈無く探しても見つからなかったのに!(結構本気で探していた)
「隠したとは人聞きの悪い事を。此度は針子達ではなく堺の商人に頼んであったまでの事」
「なっ、なっ!そんな手を…」
なるほど…どこを探してもないはずだ。
やはり信長様は一枚上手だった。