第9章 爪痕
「貴様、これは一体どうした?」
グニっと、私の右足首を掴んだ。
「痛いっ!何するんですか?」
激痛が走った。
「自分で見てみろ」
身体を起こされて見ると、右足首が真っ赤に腫れあがっている。
「何があったか話せ」
信長様の顔が険しくなる。
昨夜の記憶を頑張って辿って行くと、
「あっ、思い出した。」
「何だ」
「私、昨夜広間を出てから、打掛が重たくて長くて、それで引っ掛けて転んじゃったんです。その時は酔ってたから、痛みも感じなかったんですけど、もしかしたらその時に捻ったのかも」
我ながら呆れて信長様の顔が見れない。
きっとすごく怒られる。
「あの、ごめんなさい。飲めないのに、こんなになるまで飲んでしまって」
信長様は、ふぅっと溜め息をついて私を抱きしめた。
「貴様は本当に手がかる。1秒も目が離せん」
「ごめんなさい」
ギュッと抱きしめ返す(裸だけど.......)
「着替えさせてやる。直ぐに家康に見てもらえ」
「えっ、大丈夫です。自分でできます」
あれよあれよと信長様の手で着替えさせられ、信長様は仕事へと出かけて行った。
その後、入れ違いで、呼び出された家康が足を診に来てくれた。