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恋に落ちて 〜織田信長〜

第68章 初夢〜新年特別編〜



「俺の、何が不満だと言うのだ?愚痴があるのなら聞いてやる、言ってみよ!」


突然のアヤからの離縁申し出に冷や水を浴びせられたような心地たが、俺は極めて冷静を装いアヤに問いかけた。


「不満なんて…、ハッキリ言って不満しかありません!」


「はっ?…貴様は阿保か、その不満の内容を言えと言っておる!」

貴様を愛して愛して愛している俺の何が不満だと言うのだ!


「そう言う所です。その俺様で上から目線で何でも思い通りにしようと言うところが嫌なんです」


「なっ!」

そんな所がたまらなく可愛くて愛おしいと、言っておったではないか!(注:かなり脚色されている)


「と言うわけでお世話になりました」


「待てっ!どこに行くつもりだ?貴様の故郷は500年先の未来で帰る場所などここ以外どこにあるっ!


「好きな人ができました。その人と共に暮らします」


「はっ?貴様は俺のものだ、俺のものに、この天下人である織田信長の女に手を出す輩とはどこのどいつだ!即刻その首刎ねてやるっ!」


「ほんとに暴君ですね。吉法師も連れて行きます。さようなら」


「待てっ!アヤ!待てっ! 」




・・・・
・・・・・・

「アヤっ!俺から離れることなど許さんっ!アヤ………っ!」


歩き去ろうとする アヤの体を掴もうと伸ばした手は、何故か布団の中から空を掴んだ。


「……っ、夢であったか……」

半身を起こして額のイヤな汗を拭った。

奴から離縁の申し出などと、考えたことすらなかったが…奴が一度だけ500年後の時代に戻ると言った時と同じくらい…いやそれ以上に肝が冷えた。


横を向けば、愛しい女は俺の気も知らずにスヤスヤと眠っている。


「俺の気も知らずに、貴様は…」

無邪気に眠るアヤの鼻を摘んで眠りを妨害すると、

「ん…」

奴は嫌そうに顔を背けて寝返りを打つ。

「おい、俺に背を向ける事は許さん、こっちを向け」

俺とした事が、先程の夢をよほど引きずっているのだろう。寝返りを打っただけなのに拒絶されたような気になり、俺は奴の体を再び俺に向けさせた。






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