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恋に落ちて 〜織田信長〜

第68章 初夢〜新年特別編〜



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「………ん、眩しいな、朝か…?」

俺とした事が寝過ごしたのか、部屋は既に日が差して明るい。


「アヤ、朝だ起きよ」

いつも通りにアヤを起こそうと、ヤツを抱きしめて眠っている左腕に力を入れたが、俺の予想とは違い、アヤに触れる事なく空振った。


「ん?」

見ればそこにアヤの姿はなく、奴が寝ていたとは思えないほど冷えた敷布の感触だけがする。


「こんな朝からどこへ行った?」

朝が苦手なアヤが自ら起きてどこかへ行くなどは朝餉の支度以外では考えられないが…


「吉法師か?」

だが、あやつがグズったならば俺が先に気づくはずだ。

不審に思いながらも、俺は布団から起き上がり吉法師の眠る隣の部屋へと足を向けた。

スーッと襖を開けると、


「……一体どうなってる?」

アヤに続き吉法師の姿までないときた。
こんな事は初めてだ。…もしや俺のいぬ間に攫われたのか……?


「いや、それはあり得ん。俺が他の者の気配に気づかぬはずがない」

腕の中にいたアヤをみすみす敵の手に渡したりなどは絶対にあり得ない!


「アヤっ!」

アヤの名を叫んで天主から出て探そうとした時、


「信長様」

アヤが姿を現した。


「アヤ貴様、こんな朝からどこへ行っておった?吉法師はどこだっ?」


アヤは一人で立っており、奴の腕の中に吉法師はいない。

何も答えようとしない奴の元へと走り寄り抱き寄せようとすると、奴はするりと俺の腕をかわした。


「?…なんの真似だ…!」

「信長様、私と離縁して下さい」

「はっ……!?」

「信長様とはもういられません。私と離縁して下さい」

「……っ、貴様…何の冗談だ?」

いや、笑ってすませてやりたいがタチが悪すぎるっ!


「貴様…まことにアヤか?」

「私じゃないなら、誰だと言うんですか?」

「?」

あれ程に、思う事全てが顔に出るアヤにしては、完璧に心の内を隠せていて心の内が読み取れん。





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