第67章 信長様は構われたい
「………」
えっと…これはどう言う状況?
チラッと横を見ると、信長様が大の字で寝転がってる。しかも何だか機嫌が悪い…?
こんな信長様はあまり見た事ないし…
お疲れ…なのかな?
うーーーーん、分からない。
けど、何も理由なく信長様がこんな事するはずないし…、まずは信長様の希望通りにしようと思い…
「……じゃあ、失礼します」
寝転がる信長様を抱えようと、体の上にかぶさり腕を巻き付けた。
…………あれ?これだと持ち上げられない!
いや、もっと早くに気づくべきだけど、私より体の大きな信長様を持ち上げるなんて無理に決まってる。(いつも軽々と持ち上げてもらっていてなんだけど…)
でももう一度挑戦。
「んっ!」
って、やっぱりだめだ。
「……っ、私の力では信長様をお運びする事はできません。どうすれば良いですか?」
信長様だってきっと、分かってるはずなのに…
「では湯浴みでなくとも良い。ここで脱がせて体を拭け」
「はぁっ!?」
「早くしろ!シンと吉法師にはやっておっただろう」
「あ、あれは…」
………あ、もしかして、拗ねてる?
そう思えば、色々とこの不可解な行動も納得できる。
信長様は日々スキンシップ過多だから、今朝からの行動もあまり深く考えてなかったけど、今朝はいつも以上だった様な……?
チラッと再び信長様を見ると、拗ねた顔のままでーんと寝転がっていて子供の様で、キュンと愛おしさが込み上げた。
「…お湯を持って来ますね。少しだけお待ち下さい」
こんな風に甘えてくれる事はあまり無いし嬉しい。っていうかこんな信長様可愛いかも。
戸惑いはウキウキした気持ちへと変わり、私はすぐに桶に湯を入れ手拭いを持って部屋へと戻った。