第67章 信長様は構われたい
「んっ、の、信長様…?」
トロンとした顔でアヤ は俺を見つめるが、そんなものでは満たされん!
「今すぐに吉法師を侍女に預けて来い」
「えっ?…ん」
反論できぬ様、アヤの唇を啄ばみながら俺は命を下す。
「ん、………はい」
息を乱しながら吉法師に産着を着せ終えたアヤは、吉法師を侍女に預けて再び戻ってきた。
「…お待たせしました」
俺の突然の態度に戸惑いながらも、アヤは俺の横におずおずと腰を下ろした。
「俺を湯浴みに連れて行け」
「えっ?」
「湯浴みに連れて行けと言っておる!」
「?は…い。…じゃあ、行きますか?」
不思議そうな顔をしつつも、アヤは俺の手を取り立ち上がろうとする。
だが、今日の俺は立ち上がるつもりはない!
「…信長様?」
動こうとしない俺に、アヤは戸惑い顔だ。
「俺の事は、貴様が仕立て上げた着物だと思って扱え」
「はっ?」
「今朝、縫い上げた着物を城下に納めに行ったであろう?あの時貴様は、両手で大切そうに着物を抱きしめ持っておった。俺を、あの着物の様に大切に抱いて湯浴みに連れて行け」
「えぇっ!いきなりどうしたんですか?」
「どうもしておらんっ!早くしろ」
ゴロンと、俺はその場に大の字に寝転がった。