第67章 信長様は構われたい
「ふっ、貴様の方が風邪をひかぬ様にな」
惚れた女が他の男(雄犬)に触れたからと言って怒るなど、俺はそんなに了見の狭い男ではない。
「はい。ありがとうございます」
俺のモヤモヤとした気持ちも知らず、アヤはまたもや愛らしい笑みを俺に向けると、すぐさまシンを抱きしめ世話をはじめた。
そして夕方…
「アヤっ!」
仕事を終えた俺はアヤの待つ天主へと足早に向かい襖を開けた。
「んーーーッ吉法師、気持ち良かったねー」
今度は裸の吉法師 に何かを塗っている。
「貴様、何をしておるっ?」
その怪しげな液体は何だ!?
「あ、信長様、お疲れ様です。今吉法師に湯浴みにをさせたので、乾燥しない様に肌に香油を塗ってるんです。ふふっ、吉法師の肌スベスベ〜、気持ち良い〜」
「……っ」
俺の目の前で、アヤは嬉しそうに吉法師の頬に自分の頬をすりすりとすり寄せる。
「きゃっ、きゃあ〜」
吉法師もよほど嬉しいのか歓喜の声を上げた。
(何だ?またモヤモヤする)
「アヤ 」
「はい?……っぁ、んっ」
気付けば、絨毯の上に寝転がる吉法師を挟む様に俺はアヤの前に立ち頭を引き寄せ唇を奪った。
「んぅ……」
突然呼吸を奪われたアヤは悩ましげな声と吐息を漏らす。
俺のモヤモヤが少しだけ和らいでいく。