第66章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長誕生日sp〜
「なぜだ?」
「っ...........実は私、先日信長様に言われるまで、信長様の誕生日の事を思い出せなかったんです。だから本当に、何かを頂くような資格はないんです」
最愛の人の、一年で一番大切な日を忘れるなんて、何があってもあってはならない事だったのに。
「そんな事は知っておる。だが、それとこれを受け取らんのは別の話だ」
「信長様...........って、やっぱり、私が忘れてたこと、気付いてたんですね?いつもなんでもお見通しで、なのに私は.......」
「いや、正しくは気付いた、だ。俺の言葉に対して貴様の反応がおかしかったからな。........ふっ、俺は貴様の事になると、とことん読みが外れるらしい。だが結果として、貴様はその事を思い出し、この三日間、俺の事だけを思いこの浴衣を仕上げた。その思いがあれば十分だ」
「信長様........」
じーーーーん、と心が温められていく。
私は本当に幸せ者だ。こんな日本一、ううん、世界一優しい旦那様と一緒になれて......
「ううっ、ありがとうございます。じゃあ遠慮なく、これは頂戴します。....見てもいいですか?」
「ああ、構わん」
(わぁ、どんな着物だろう。この間の視察先で買って来てくれたのかなぁ)
信長様の男らしい笑みに見守られながら、ワクワクした気持ちで包みを開いた。
「...................ん?」
包みを開いた先にチラッと見えた着物に嫌な予感がして、私は開いた包みを瞬時に閉じた。
「如何した?」
「えっ、あの..........」
もしかして、もしかする?
「何をしてる、早く開けろ」
「あっ!」
躊躇う私の手を退けて、信長様は自ら包みを開いて中の着物を取り出した。
「..........ふっ、此度も良い仕上がりだ」
信長様は着物を手に取りうっとりと感想を漏らした。
「信長様、そっ、それはっ」
「今宵貴様が身に纏う寝間着だ」
寝間着って、それは寝間着と言っても例のエロ襦袢ではーーー!?