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恋に落ちて 〜織田信長〜

第66章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長誕生日sp〜



「だが、こやつと揃いで着て出かけるとなると、俺が子持ちだとばれて女が寄ってこなくなりそうだな」

ニッと、信長様はわざとらしく口の端を上げた。

「ムッ、信長様が子持ちだって事を知らない人なんて、この安土にはいませんっ!それに、そんな事で女の人が寄って来なくなるなんて、ご自身が思ってる程本当はモテないんじゃないんですか!」

いつも急に始まる自分はモテる談話に、私の機嫌は急降下する。


「阿保、こやつとおっても俺は引く手数多で困っておった所だ。これくらいがちょうど良い」

私のイヤミにしれっと答えた信長様は、つんつんと吉法師をつつき、吉法師は「きゃははっ!」とご機嫌に笑い声を上げた。


「そうですかっ!じゃあそれ以上モテないように、これからは毎日それを着て城下を吉法師と歩いて下さいね!」


「そうだな」

「なっ、....んっ!」

ご機嫌に笑う信長様の顔があっという間に近づき、私の唇を掠め取った。

「.........っ、」

「俺の妻は、ない浮気をすぐに疑うほど嫉妬深くて泣き虫だからな。貴様の心を平らかに保つ為にも日々こやつと共に着ることにしよう」

「っ、いじわる」

「くくっ、すぐに口を尖らせて怒るからだ。まこと貴様は飽きん。なぁ吉法師?」


「だぁーー」


「もう、吉法師まで......」


昼間までの不機嫌が嘘の様になくなった吉法師は、信長様の膝の上でご機嫌に座っている。

あの後、吉法師の世話役の侍女に今日の不機嫌だった事を相談した所、そろそろ離乳食を始めてみてはと言われ、米粉をお湯で溶いた物を初めて食べさせてみた。
ペロリとその粥を平らげた吉法師は、そろそろ母乳だけではお腹が張らず、それが機嫌が悪い原因の一つであったのかもと言われ、私たち親子はまた一つ新たな事を学んだ。








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