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恋に落ちて 〜織田信長〜

第66章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長誕生日sp〜



夜になり、私たちは久しぶりに家族で食卓(膳)を囲んで信長様のお誕生日のお祝いをした。

お祝いのご飯を食べ終わり、私はバースデーケーキとして作ったパンケーキを信長様の前に出した。
 
「信長様、お誕生日おめでとうございます」

「ん、何だこれは、土鍋の中に......カステラか?」

初めて見るパンケーキを前に、信長様は興味深そうに身を乗り出した。

「ふふっ、これはパンケーキです。私が昔よく読んだ絵本、えっと、御伽草子の中に出てくる夢の甘味で、今日はそれを真似て作ってみました」

フライパンのない時代だから、ちょうど良い大きさの土鍋で作った絵本のパンケーキ。

「ほぅ、”ぱんけーき”か。して、表面のこの顔の様な絵は何だ?」


信長様は、私がアイシングで描いた信長様の顔を見て不思議そうに尋ねた。

「ふふっ、それは砂糖を溶かしたもので描いた信長様の顔です」

「俺の顔だと?」

「はい。我ながら上手に描けたと思って、似てると思いませんか?」

「.......絵自体は上手く描けておるが、俺はもっと男前だ、こんな童のような顔はしておらん」


イラストっぽく描いたから、信長様からすると子供の顔に見えたのか、信長様は、不思議そうに、そして納得のいかない顔をしてケーキをじーっと眺めた。


「これはどちらかと言えば、そうだな吉法師、貴様に似ておる」

閃いた様に吉法師を見て信長様は言うけど、

いやいや、あなた方二人はそっくりですよー

と、突っ込みたい気持ちをグッと我慢して私は笑いを堪えた。


「あとこれも、受け取って下さい」

信長様が吉法師を連れ出してくれた後に完成させる事ができた、父と子でお揃いの浴衣(吉法師は甚平)。


「浴衣か、これからの季節に重宝しそうだな」

「吉法師の甚平も同じ生地で作ったんです。お揃いなんですよ」  

信長様の膝の上に座っている吉法師に、作った甚平をあてて見せた。

「ばぁぶーー」


「ふっ、貴様にもこの着物の良さが分かるのか?貴様の母は安土一の針子だ。見ろ、この丁寧な仕事を」


「信長様......」

そんな風に言ってもらえるなんて本当に嬉しい。


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