第66章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長誕生日sp〜
「何かあったっけ?今は5月でしょ?」
..................んっ?.................5月!?
「あーーーーーーっ!!!?」
重大な事を思い出した私は、思わず大声を上げた。
「!!.......ふっ、ふぇ、ふええええーーーん」
そんな私の声に吉法師は驚き、泣き声を上げた。
「わっ、ごめんごめん。吉法師に叫んだんじゃないよ。ご機嫌だったのにごめんね」
慌ててあやしながらも、心は違う事に焦っていた。
「...........そうだ、.....もうすぐ、信長様の誕生日だ!」
なんて事、
なんて事、
なんて事なのーーーーーー!!
これはもしかして......
結婚して子供が産まれた途端、旦那に冷たくなる妻ってやつでは!?
ダメダメダメっ!
こんな事は絶対自分には起きないと、あの岐阜城の天守でプロポーズされ結婚をした時に誓ったのに!
そもそも何でこんな重要な事を忘れてしまったんだろう?
授乳中は記憶力が落ちると聞いたけど、それ?
ううん、違う!
今は中国攻めの真っ最中で、秀吉さんと三成君はずっと遠征に行ったままで、仰々しい事は控えているし、何よりも仕事に夢中になり過ぎて余計に気づけなかった!
って、いやいや、言い訳を探してる場合じゃない!
「これではいかん!」(信長風)
あんなに凄い人と結婚できただけでも未だに信じられないのに、これでは妻失格どころか飽きられてしまう!
好きで一緒になった人で、その人の子供も産んだのに.......
「でもどうしよう」
誕生日はもう明後日だ。
今から何ができる?
「誕生日だから、やっぱりケーキだよね?.......とりあえず台所に行こう!」
吉法師を抱っこしたまま、私は走って台所へと向かった。