第66章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長誕生日sp〜
「んぅ..........っ、.......はぁ.....」
「ふっ、こんな蕩けた顔をさせられるのは俺だけだ」
唇を離し、満足気に私の頬を撫でる信長様.....
「もう、息子と張り合ってどうするんですか」
怒ったふりをしながらも、我が子に本気でヤキモチをやく信長様も可愛くて大好きで、相変わらず私の信長様への気持ちは大きくなるばかりだ。
「......少し、疲れた顔をしておるな」
頬を撫でる手を止めて、信長様は心配そうに私を覗き込む。
「え、そうですか?」
「吉法師、母の顔を見てみよ」
信長様はそう言うと、腕に抱いている吉法師を私の顔の前にずいっと見せて来た。
「貴様が夜中に起きてアヤを寝させぬゆえ、貴様の母は寝不足だ。そろそろ朝まで眠る事を覚えよ」
「あーーーーっ」
「おっ、分かったか。ならば今宵から実践するが良い」
「だぁーー」
楽しそうに親子で会話をしていらっしゃる所申し訳ないけれど.......
「それは信長様も同じですよ〜」とは、夜の仕置きが怖くて言えない。
私の夜は、ぐずって眠れない吉法師をあやすか、絶倫感半端ない信長様のお相手かのどちらかで、実際寝不足である事は否めない。(幸せだけどね)
「とにかくあまり無理はするな。貴様が倒れては、俺も此奴も困る」
「はい」
確かに、最近は針子仕事に本格的に復帰した為、待ってくれていた人達からの指名の針仕事が立て込んでいて、無理をしていた自覚はある。もう少しだけ頑張れるかなと思っていたけど、心配させたくないし、少し仕事をセーブした方がいいのかも。
「ふっ、俺のためとは分かっているが、俺は貴様が側におれば他には何もいらん」
「えっ?」
「俺が知らぬと思っておったか?貴様がここ連日無理をしてまで何かをしておるのは、全て俺のためだと分かっておる」
「あの........」
何の事を言っているんだろう?
「無理のない程度で良い。特に今日明日は視察先にて城を留守にする。俺がおらぬからと言って無理は禁物だ。分かったな」
ちゅっと触れるだけの口づけをした信長様は、私に吉法師を渡してご機嫌に部屋から出て行った。
「信長様の為?何の事?」
吉法師と二人、部屋に残された私はその言葉にキョトンとなった。