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恋に落ちて 〜織田信長〜

第66章 全てはあなたを喜ばせるため 〜信長誕生日sp〜



500年先の時代にいた頃は、子供ができたら当たり前に自分を”ママ”と呼ぶものだと思っていたけど、この時代にその単語は存在しておらず、お母さんもまた然りで..........

信長様は、『何だ、”まま”でも俺は構わん。貴様の呼びたい様に呼ばせろ』

とは言ってくれたけど、信長様も私の事をママといつか呼ぶのは笑ってしまいそうだし、とても似合わない気がして...........、いわゆるこの時代で一般的な”母”と呼ぶことになった。


「んーーー気持ちがいいね」

春の暖かい陽気に包まれ布団の上に寝転べは、寝るのが得意な私にはあれ(睡魔)が必ず訪れるわけで.......

「あ、襖閉めないと.......」

吉法師が転がり落ちない様に襖を閉めようと思ったのに、吉法師のミルクの様に甘い香りに誘われて、私はそのまま眠ってしまった。




・・・・・・・あ、襖閉めなくちゃ・・・・襖・・・・・

「襖っ!」


慌てて飛び起き横を見ると、横にいたはずの吉法師がいない。


「吉法師?」


周りを見渡すと、ごろごろ寝返りを繰り返して部屋から転げ出た吉法師が縁側にいる。


「ばぁあぶぅー」

ご機嫌な吉法師は中庭の方に向かってもう一返りをしようとしている。

「吉法師ダメっ!」

お庭に落ちちゃう!

こう言う時、人には2タイプあると思う。

瞬時に身体を動かして助けに行くタイプと、危ないと分かっているのに体は動かずただ叫ぶだけのタイプ。


そして私は完全に後者で......


「吉法師危ないっ!」


スローモーションの様に、寝返りをうち縁側から落ちて行く吉法師に布団から手を伸ばし、ただ大声で叫んだ。


「おいっ!」

次の瞬間、ヒョイっと小さな吉法師が宙に浮いた。

「あ、.......」

「声だけでは助けられぬぞ」

「信長様っ!」 

自分の身が危険に晒されていた事も知らずご機嫌に笑う吉法師を助け上げ抱っこした信長様が、布団の上で固まる私を呆れ顔で見下ろしていた。





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