第65章 秀吉のぼやき⑤〜番外編〜
「何かと言うか、アヤが全部を頑張ろうとし過ぎて逆に痩せてしまって、それで信長様と色々とすれ違って喧嘩もしてと落ち込んでた時もあって......」
「喧嘩?信長様とアヤが!?」
アヤが来たばかりの頃はそんな光景もよく目にしたが、喧嘩と言うほどの事は余りなかった様に思うが......
「お二人で色々と話し合われ相談しながら、最近はやっと落ち着いた感じで.......、でも目を離すとアヤはすぐ無理して頑張ろうとするから、今日みたいに信長様が時間を見つけてはアヤを外に連れ出して二人の時間を作ってるみたいなんです」
「なる程な........」
ああ見えて、信長様なりに苦労をされていると言うことか?
いや寧ろ楽しそうだったぞ?
「ふえっ、ふえっ、ふえぇーーーん」
「わっ、若様っ!」
ついに泣き出したぞ?
赤子が泣く理由は確か..............
「そうだ!若様、少しだけ失礼します」
吉法師様に断りを入れてお尻を触り確認するが、まだおしめが濡れている気配はない。
と言う事は.....
「お腹が空いたのかもな.....」
泣く頃には戻ると信長様も言われていたし.........
「城に戻るか。悪いな葵」
「いえ、お腹が空いているなら可哀想ですし、戻りましょう」
湖畔に向かっていた身体を城へと向けた時、
「秀吉さーーーん」
遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ん?」
振り返ると、アヤが手を振りながらこっちに走って来ている。
「アヤっ!」
内心助かったと俺は胸を撫で下ろした。
「秀吉さん、葵ごめんね。吉法師の泣き声が聞こえたと思って見たら、秀吉さんと葵の姿が見えて、信長様に確認したら秀吉さんに預けたって聞いて........」
はぁはぁと、息を切らして駆けて来たアヤの後ろには、アヤに多分怒られたのか、不遜な態度の信長様が.......