• テキストサイズ

恋に落ちて 〜織田信長〜

第65章 秀吉のぼやき⑤〜番外編〜



「お前との子供か。それもいいが、暫くは二人の時を楽しむのも悪くはないかもな」


「............っ、はい..........」


はにかんで俯く葵を今すぐ抱きしめたいが、俺の腕の中には大切な吉法師様が........


「とりあえず湖畔でも歩くか。もう外での散歩もしていると聞いたし、赤子は景色が変わると機嫌がいいからな」


「赤子の扱いを.....よくご存知なんですね?」

もしや?と言う疑いの目で俺を見る葵........


「まて、俺には隠し子などいないから勘違いをするな。弟や妹がたくさんいて親も忙しかったから、必然的に俺が面倒を見ていて知っているだけだ」

過去の行いが行いだけに、葵の疑いも無理のない話だ。


「俺にはお前だけだ。過去は変えられないが、今の俺を信じてくれ」


「はい」

綺麗な笑みを浮かべて返事をする葵を、この先もずっと幸せにしてやりたい。


「俺への疑惑も晴れた事だし行くか。若様を抱っこしているから手は繋いでやれないが悪いな」

「いえ、一緒に過ごせるだけで幸せですから」

「そんな風に言ってくれてありがとうな」

本当に、葵の健気さには頭が下がる思いだ。


「そう言えば、若様を外にお連れする籠の様なものを、アヤの希望で今作ってるって言ってましたけど、まだご覧になってませんか?」


「若様の籠?」


「はい。籠というか、大八車を赤子を乗せられるように小さく改良した乗り物だとアヤは言ってましたけど.......」


「そんな物を使わなくても、こうして抱っこすれば済むんじゃないのか?」


「それだと、着物を作る反物などの材料を運べなくて困るんだそうです。それにアヤの故郷では、当たり前に赤子をそれに乗せて運ぶんだそうですよ?不思議ですよね」


「反物を運ぶって、あいつもう働いてるのか?まだ若様が生まれて三月も経っていないだろう?」


「そうなんです。最近は大分落ち着いたみたいですけど、若様を産んだ当初は慣れない育児でそれは大変で.........」


「何かあったのか?」





/ 816ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp