第63章 妻に望むもの〜信長様誕生日sp〜
あれからお城に戻り、信長様は日々仕事に追われ忙しそう。
『梅雨が明けるまではこっちにいられそうだ』
と言っていたから、暫くは忙しくても姿を拝む事はできるからとても嬉しい。
私はと言うと、あの後安土に戻って針子達に案の定、根掘り葉掘り聞かれ、色々白状させられるなど、一連の儀式を終え、普段どおりの生活に戻った。
そして今日も仕立てた着物を届けに城下へとやってきた。
仕立て物を届け終えお店を出ると、
「佐助君!」
目の前で待ち構えるように立つ佐助君が。
「アヤさん、言い訳をさせて欲しい」
............佐助君の話によると、
謙信様の命で安土城下に潜入していた所を信長様に見つかり、見逃すかわりに私達のいた時代の夫婦の事について聞かせろと言われたらしい。
「佐助君でも敵に見つかる事があるんだね」
いつでもそつなくこなしてるのに、珍しいな。
「いや、あれは完全に罠にハマってしまった」
「どう言う事?」
「裏道を密かに移動していたら、見たことのない形のまきびしを見つけて、思わず手に取ったら目の前に信長様がいたんだ。俺が飛びつく事を知って、罠にかけたらしい」
「何だか、すごいね」
凄腕の忍者なのに、まきびしの罠に簡単に引っかかった佐助君も、いつ佐助君がそこを通るかも分からないのに罠を張った信長様も........
「..........そうなんだ。そこまでしても俺たちの時代の夫婦像を知りたいなんて、もしかしたら君達は倦怠期なのかと思ってしまって、アヤさんには悪いと思ったけど、院生だった頃読んでいたメンズ誌のアンケートに載っていた彼女や奥さんとしてみたい事のベスト3を伝えたんだ」
なるほど。私の読んでいたファッション誌でもたまに、彼とのsex事情とかの特集が載ってたけど、そんな感じかな。それにしても、裸にエプロンを世の男性はそんなに望んでいるなんて驚きだ。