第63章 妻に望むもの〜信長様誕生日sp〜
「でも、よく考えれば、君達が倦怠期な訳がないとすぐに気づいて、信長様が安土に戻る前に謝っておこうと思ったんだけど、もう、遅かったかな」
「うっ、それは........ノーコメントでお願いします」
あんな事があったなんて口ではとても........針子達には白状させられたけど........
「クスッ、間に合わなかったみたいだな。次はもっとアヤさんに配慮した内容を伝えることにする」
全てを察した佐助君は僅かに顔を緩めて笑った。
「よ、宜しくお願いします」
かなり恥ずかしい体験だったけど、敵方にいる佐助君に聞いてまで私との時間(いや、信長様の余興かな?)を充実させようとしてくれた信長様にはやっぱり最後は感謝の気持ちでいっぱいで、今すぐに会いたくなった。
「わざわざ知らせに来てくれてありがとう。何があっても、佐助君は私のズッ友だよ」
「ありがとうアヤさん。俺も君をズッ友だと思ってる」
佐助君は目を細めて笑うと、「じゃあまた、アヤさん元気で」と言って、ドロンと消えてしまった。
「アヤ!」
名前を呼ばれて振り返ると直ぐに会いたいと思っていた信長様が.......
「信長様!」
「遅い、いつまで城下を彷徨いておる」
ぎゅっと腕の中に閉じ込められ、咎めるような顔で見下ろされた。
「迎えに来てくれたんですか?ふふっ大好き」
「貴様、大好きと言えば俺が怒らんと分かって言っておるだろう」
「そんなつもりじゃ、でも今すごく会いたいと思ったら会えたので嬉しくて、大好きっ!」
ぎゅーっと、腕を巻きつけて大好きな胸に顔を埋めた。
「ふんっ、貴様はやはり悪女だな」
私の顎をすくいあげ、信長様は楽しそうに笑った。
「俺を常に惑わす悪女は懲らしめねばな。夜は手加減せぬと思え」
「えっ?..........っん」
今夜を彷彿とせるような荒々しい口づけが落とされ、そのまま城へと連れて帰られた。
来年の誕生日もまた、私がサプライズされてしまうかもしれないけど、私も負けないようなサプライズを考えようと、強く心に誓った。