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恋に落ちて 〜織田信長〜

第63章 妻に望むもの〜信長様誕生日sp〜



「アヤ、中に入るぞ」


馬を繋いで戻って来た信長様と手を取り建屋の中へと入った。


「わぁ、素敵な内装」


愛人と住む予定だったと言うその商人の方は、きっとセンスが良い方なんだな。お庭も素敵だったけど、内装も端々にこだわりが感じられ、でも趣があってとても素敵な仕上がりになっている。


信長様は見取図を見て間取りは把握しているけど、私のために二人で順に建屋の中を見て行った。


「二人では使い切れないくらい広いですね」

武将達の住む御殿程の広さはないにしても、宿屋位は営めそうな程の広さで、当然、私の現代で住んでいた横浜の実家の何倍もの広さがある。


「いずれ子も増えればちょうどよくなるだろう。子は一人とは限らんしな」

「そ、そうですね」

そっか、考えなかったけど、このお腹の子にも兄弟が必要だよね。

私よりも、信長様の方がずっと私やお腹の子の事を考えてくれてる。


「ふふっ、ありがとうございます」


私達の子供が楽しそうにこの家の中を駆け回る姿を想像するとくすぐったい気持ちになる。


家族だけの空間


お城でそんなことを望むのは無理だし贅沢なことだと思っていたから、こんな風に叶えてもらえたなんて、明日は信長様の誕生日だと言うのに、何だか私がプレゼントをもらってしまったみたいだ。



「気に入ったのなら良い、だがまだ肝心な物を見ておらん」


私の手を引きながら、信長様は木の扉を開けた。

そこは湯殿の脱衣所で、そのまま中に入って衝立の向こうを見ると、


「わぁっ!」


目の前には湖が広がり、贅の限りを尽くした石造りの湯殿があった。



「ほぅ、見事な作りだな」


信長様も感嘆の声を漏らす。

木枠の扉で閉じれば室内風呂となり、開ければ露天風呂となる様に設計されていて、見事だ。


「腹の子に障るゆえ、湯の中で貴様を抱けぬが、後でゆっくり湯に浸かるぞ。体を洗ってやる」


ちゅっと、頭にキスを落とされた。





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