第8章 安土の休日
いつもの様に朝餉をすまし、お互い別々に支度をした。
信長様はこの安土のお殿様で、知らない人はいない為、ばれずに二人で楽しめるように、変装をしてきてもらう事にした。
またデートらしくする為に、城門の前で待ち合わせをする事にした。
ワクワクしながら、自室で支度をする。
忙しい中お休みを取ってくれた事も嬉しいし、何よりも二人で外出するなんて初めてでドキドキする。
信長様の周りには、何時も秀吉さんがいるし、外出する時には何人もの護衛が付いていて、平和に庶民暮らしをしてきた私はまだ慣れない。
だから、今日は思いっきり二人の時間を楽しみたい。
少しでも可愛いと思ってもらえるように、私は目一杯おめかしをした。
支度が終わり、城門に行こうと部屋を出ると、
「アヤ、信長様を見なかったか?」
秀吉さんに呼び止められた。
「ううん、見てないよ」
秀吉さんが心配するといけないから、今日二人で城下町に行くのは内緒にしてある。
「おかしいなぁ、昨夜急に休みを取ると言い出したから、絶対お前絡みだと思ったんだが」
秀吉さん鋭い!って言うか、信長様、わざわざお休みを取ってくれたんだ。嬉しくて顔がにやけてしまう。
「力になれなくてごめんなさい。見かけたら、秀吉さんが探してた事伝えておくね」
「あぁ、頼むな」
これ以上話してると、態度でバレてしまいそうで、私はそそくさと秀吉さんから立ち去った。