第62章 旅立ちの日〜最終章〜
「あっ.....ん、信長様?」
そして、チュっと軽くおへその下へ口づけた。
「元気に生まれて来い、待っておるぞ」
それは、私に向けられた言葉ではなくて.....
(今.......赤ちゃんに、話しかけた?)
「信長様..........」
その、綺麗な光景に感動してしまって、涙が出た。
「ふっ、すぐ泣く。本当に泣き虫な奴だ」
「うぅ、だって、感動して.....」
信長様は、笑いながら私の涙を口づけで受け止めてくれる。
信長様に出会ってから、私の涙腺は脆くなった(と思う)。どんな私でも良いと言って受け止めてくれる信長様にやはり私は甘やかされていて、感情がダダ漏れで、隠し切れない。
「家族の時間は終わりだ、夫婦の時間に戻るぞ」
ニヤリと唇が弧を描くと、口づけと共に身体に熱が灯された。
「あっ........んんっ」
大好きな、大好きな人。
「......アヤ、愛してる」
そんな大好きな人が、悩ましげな顔をして私を愛していると掠れた声で愛を囁いてくれる。
「っあっ、私も.......ん、愛してます.......」
恐怖に身を震わせた夜も、悲しみの涙で枕を濡らした夜も、全てが愛おしい思い出。
「アヤ........」
愛を囁き、熱を与え合い、私達は飽きる事なく何度も身体を重ね、互いの思いを感じ合った。