第62章 旅立ちの日〜最終章〜
その後お城へ戻りそのまま一緒に湯浴みをして、天主で夕餉を取った。
「悪いが、子が貴様の腹におっても、今夜は譲れん」
夕餉を食べ終わり、閨に運ばれ褥に下された。
「悪阻とかは、全然ないんです。体調も悪くないし、それに、そうかもって勘だけで、まだ家康にも見てもらってませんから」
「貴様がそう言うなら子はおる。だが今夜は手加減はできん」
艶を帯びた顔で言われ、優しく身体を倒された。
「っ、.....私も、たくさん信長様を感じたい」
信長様の頬に手をあて、自分から触れるだけのキスをした。
思いを言葉や態度にするのは恥ずかしい。
でも今夜は素直でいたい。離れていても、いつも私を思い出してくれる様に。そして、信長様も思い出してくれる様に。たくさんの愛をこの身に刻み付けてほしい。
「言われずとも、感じさせてやる。嫌だと言っても無駄だ」
「んっ......」
チュ、チュ、とリップ音を響かせながら、キスが無数に落とされる。
その音に混じり、シュルシュルと帯の解かれる音が聞こえてきた。
何度抱かれても、帯を解かれ着物を開かれる瞬間は恥ずかしい。
そしてそんな私を見て信長様は呆れたように必ず言う。
「ふっ、......毎度の事ながら、飽きん奴だ。だがその顔も良い」
その言葉が合図の様に着物は開かれ、露わになった胸元に信長様は優しく口づける。
「んっ..........」
「..........そう言えば、まだ挨拶をしておらんな」
「えっ?」
信長様は、そのまま手を下へと滑らせお臍の下辺りを撫でた。