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恋に落ちて 〜織田信長〜

第62章 旅立ちの日〜最終章〜



「早く、信長様にお知らせを。旅立たれる前で良かったね」

涙を拭きながら葵は笑う。

「うん。でも、何て話そう」

確信はあっても、確定では無い。
勘が外れる事だってあるかもしれない。

現に、5分前までは思いもしなかった事だ。


でも、今は身体中がそうだと言っているみたいに擽ったさと温かさと、これが母性なのかと思うほどの愛おしい感情が溢れてくる。



「あのね、私と秀吉様が昨日行った神社はね、無病息災は勿論のこと、安産祈願も出来るって聞いた事があるよ」


神社.......


「そんな時間、信長様にあるかな.....」

今も、朝から天主で主要メンバーを集めた軍議に入って最終確認の真っ最中で....


「とりあえず天主に戻ってみたら?神社は行けなくても、お伝えはできるでしょ?きっと喜ばれるよ」


「.........そうだよね」

まだ子はいらんとは言ってたけど、あの時も、優しく愛しむ様に私のお腹に手をあててくれた。

それに、御母上様に孫を見せる為に協力してやるって言ってあんなに.........、いや、その前からもう妊娠してたのかな、でも、そうだとしても信長様はいつだって..............


「アヤ?顔赤いけど、大丈夫?やっぱり体調が.....」


毎晩の信長様との事を思い浮かべて赤くなる私を心配そうに覗き込む葵。


「な、何でも...大丈夫。ありがとう」


とりあえず目眩は止んだから(違う動悸はするけど)、甲冑を上座へと運び終え、葵と一緒に広間を出た。



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