第62章 旅立ちの日〜最終章〜
「大丈夫?」
私の額に手を当てる葵
「少し、熱っぽくない?」
「あ、うん、でも本当に大丈夫。身体は熱っぽいんだけど、結構元気と言うか、ただ立ちくらみがここの所よくあって」
ぽーっとしがちだ。
「.......あのさ、......変な事聞くようだけど......最近、月のものは来た?」
葵が口元に手を当てながら、考える様に聞いて来た。
「え?月のもの?えっと...............................あれ?」
二ヶ月、来ていない。
「来てない?」
慎重に、探るような葵の目。
「あ...........うん、」
忙しくて、しかもいつもの事ですっかり忘れてたけど、確かに来ていない。
「アヤもしかして.........」
ここから先は、言われなくても分かった。
「..........赤....ちゃん?」
目を見開き、葵を見ながら
お腹にゆっくりと手を当てる。
ドクンドクンと、心臓が跳ねる。
何だろう......前に妊娠かもと言われた時にはなかった、確信みたいなものが自分の中に溢れて来る。
これはただの勘。だけど、間違い無いと何かが叫ぶ。
「アヤ!」
葵が両手で顔を覆って歓喜の声を上げる。
「葵.........どうしよう、私..........」
これから戦で大変な時なのに、でも、嬉しい。
信長様と私の赤ちゃん。
大好きな人の赤ちゃんがここに?私のお腹の中に...?
「アヤおめでとう。凄いよ、おめでとう」
私の手を取って、涙を流しながら喜んでくれる葵、あなたと言う友に出会えて私は本当に幸せ者だ。