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恋に落ちて 〜織田信長〜

第60章 花屋夫人



そんな私の心を知ってか知らずか、ちゅ、ちゅっと、信長様は顔中に口づけをしだした。

「.......っ、あの.....んっ」

「いつもの貴様もいいが、こんな貴様にも唆られる」

逃げ腰な私に、ぐいぐい来る信長様。
背中に壁があたり、逃げ場を失った私に信長様はニヤリと笑った。


「ふっ、冗談だ。貴様は本当に飽きんな」


キュッと、私の鼻を軽く摘んでから私の手を取り「行くぞ」と言って笑いながら歩き出した。


良かったと、ホッと胸を撫で下ろした。
危ない危ない、また、気をもっていかれるところだった。

今度こそは、成功させないと。


「あの、信長様、私針子部屋に仕立てた着物を取りに行きたいので、信長様は、シンを迎えに行って頂けませんか?」

これが、最後の賭け。
私が一人になれる唯一の時間。
お願い!!


「分かった。では、門で会おう」

信長様は快諾してくれ、私は針子部屋へと急いで仕立てた着物を取りに行き、その足で秀吉さんの部屋へ向かい、計画を伝えることが出来た。




急いで城門へと向かうと、信長様とシンが待っていてくれた。


「お待たせしました」

「慌てずとも良い。行くぞ」

慌てる私に笑いながら、信長様は私の手から荷物を取り、もう片方の手で手を繋いでくれた。

リードをしていないシンは、気を遣っているのか、その後ろを歩く。


久しぶりのデートは、先ず仕立てた着物を届けて、戦に持って行く信長様の金平糖を買いに行った。


「ふふっ、金平糖、沢山買えて良かったですね」


「貴様の代わりだからな。買い占めておけば良かったか?」


「もう、食べ過ぎは体に悪いのでだめです」


「貴様は、食べ過ぎても良いことばかりなのにな」

「.................っ、そんな事は」

ほら、腰も痛くなるし、あそこもヒリヒリしたりするし......って、いやいや今は金平糖の話で、何故いつも話がそっちに逸れてしまうんだろう。
私の体に触れながらする信長様の艶話は心臓に悪い。何とか話を逸らそうと思っていると、


「あっ、ここです。ここの甘味屋さんのお団子が最近人気で、食べたかったんです」

タイミングよく、目的地の甘味屋さんに着いた。



シンを連れての入店はできないため、外に置いてある長椅子に腰を掛けた。


「じゃあ私、中で注文して来ますね」


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