第59章 奥の務め
「............っ、お手紙を、毎日書きます」
俺を抱きしめ返し、アヤは言葉を続けた。
「俺も、毎日返事を書こう」
「離れていても、おはようございますとおやすみなさいを信長様のいる方に向かって毎日言いますから」
「分かった。約束する」
「う、浮気は絶対ダメですからね」
俺は、本当にアヤからの信頼が薄いらしい....
だが、この質問をされるといじめたくなる。
「それは分からん。バレなければ一人や二人くらい問題ないだろう?」
「なっ、だめったらだめっ!絶対ダメ!そんな事したら、一生口を聞かないし、許しません」
思った通り、顔を赤らめ必死で止めてくるアヤが愛おしくて仕方がない。
「ふっ、それは、困るな。貴様の呑気な声は気に入っておる。浮気は我慢してやる」
「.........っ、我慢してやるって.........、ほんとは浮気したいのに、普段から我慢してるって事ですか?」
俺の、何を見ておればそのような考えに行き着くのか.....呆れて黙っていたのを、アヤは肯定と捉えた。
「やっぱり私一人じゃ..満足できない.....ですか?それなら..........あっ、んんっ」
アヤの言葉に僅かに苛立ち、唇が潰れそうな勢いで塞いでやった。
「んー!」
鼻も潰れそうなほど抑え込めば、息が出来んのだろう。苦しそうに、だが悩ましげな声を漏らした。
「ふっ、...........んんっ」
だが、これでは俺の気が済まん。絡めた取ったアヤの舌を傷つけない程度に噛んでやった。