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恋に落ちて 〜織田信長〜

第59章 奥の務め



その日から数日間は、全く信長様に会えなくなった。

軍議が昼夜問わず、食事を摂りながら続けられた為、ご飯でも会うことができなくなった。


私も私で、出来る限りのお城のお手伝いと、針子作業、そして空いた時間を使って、薬の知識と応急処置と乗馬と護身術の練習をして、天主に戻れば褥に倒れ込むように眠り、朝を迎えていた。



全然時間が足りない。

どれもまだ完璧にはこなせない。

それでも、今日もし秀吉さんに偶然会えたら、もう一度聞いてみようと思っていた。


そして、チャンスは思いがけずやってきた。


縫い上がった大量の手拭いを備品庫に持って行く途中の廊下で偶然、秀吉さんに会った。


「秀吉さん!」


「おう、アヤ、精が出るな」


頭を撫でられ優しく微笑まれると、切り出しにくいけど....

「あの、戦について行く事、許可してほしいんです」

一日も早く許可して欲しい。


「..........前も言ったが、それはダメだ」

秀吉さんから笑顔が消え、ため息を吐くと、真剣な眼差しでNOと言われてしまった。


「.......っ、せめて理由だけでも教えて下さい」

「アヤ、戦は遊びじゃ無いんだ」

「分かってます。だからこそ......」

側にいて、無事を確認したい。


「いいや、分かってない。小国の小競り合い程度なら許可してやれるかもしれないが、中国攻めだけはだめだ。刀も振れなければ馬にも俊敏に乗れないお前には到底無理だ」


「っ、馬にはそれなりに乗れるようになりました。刀は振れませんが、怪我人の手当てをします。自分の身は守れるように護身術ももっと頑張りますから」


信長様が無茶をしない様に、見守りたいのに。


「アヤ、お前が努力している事は聞いているし、それなりに上達してきた事も知ってる。だがダメだ」

秀吉さんは、表情を緩めなかった。

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