第7章 告白
そこには、木枠で作った檻が置かれていて、その中に白くて小さな動物が入れられていた。
「ワンっ」
「えっ、犬?」
慌てて檻に近寄ると、仔犬が中に入っていて、しっぽを振っていた。
「きゃー仔犬っ可愛い!檻から、出してあげてもいいですか?」
「かまわん。それは、貴様にだ」
信長様が微笑む。
「私に?このわんちゃんを?」
檻を開けて抱っこしてみると、
「ワン、ワン」
嬉しそうに飛びついてきて、ペロペロと顔を舐めてきた。
「かわいい〜人懐っこい」
(なんだか、実家で飼っていた犬を思い出す)
「ふふっ、くすぐったいからあんまり舐めないで」
すっかり状況を忘れて仔犬と戯れていると、
「貴様もそんな緩んだ顔をするんだな」
信長様が私の顔を覗き込んできた。
「信長様。仔犬ありがとうございます。大切に育てます」
「ふんっ、礼は褥の中で聞くと言っておるだろう」
そう言いながら、悪戯っぽく笑う顔が近づいて来た。
(っ、口づけられる)
咄嗟に身構えたけれど、
「あー、コホン。信長様、皆が待っておりますのでそろそろ」
秀吉さんの言葉で、顔は目の前で止まり、ペロっと鼻先を舐められて、信長様は秀吉さんと皆の待つ方へと向かっていった。