第7章 告白
「わぁーすごーい」
お城の中で一番広い庭まで降りてくると、むしろの上に大小様々な物が広げられ、まるで市の様になっていた。
「今回の視察で手に入れた品々だ。」
「視察って、見て回るだけなのに、お買い物もされたんですか?しかもこんなにたくさん」
何の気なしに言うと、
プッと秀吉さんが吹き出した。
「秀吉さん?」
「アヤお前、本当に何も知らないんだな」
可笑しそうに笑いながら秀吉さんが口を開く。
「これは、視察で訪れた先の諸大名や地方豪族、商人達から信長様への献上品だ」
「献上品......。行くたびにこんなに貰ってたら、お部屋に入りきらなくなっちゃいますね。あっ、だからお庭に運んだんですか?」
「これは今から、俺や三成、家康や政宗達を含む家臣達に、その働きに応じて信長様が振り分けられるんだ」
「そうなんだ。」
お土産を渡すみたいな物なのかな。見るからに高価そうなものばかりで、信長様の権力の凄さを実感してしまう。
「アヤ、よく覚えておけよ。信長様ほどの方になると、自分で買い物なんかはされない。まぁ、例外はあるけどな」
含みを持たせる言い方をする秀吉さん。
「例外って?」
私も気になって聞いてしまった。
すると、
「ご自身と、お前の着てるものや装飾品だけは、信長様自らが商人を呼んで、選んでいらっしゃる」
こそっと耳打ちしてくれた。
「えっ?」
「いつか、お礼言っておけよ」
そう言って忙しそうに荷物の方へと行ってしまった。
トクントクンと心臓が大きく脈打つ。
(本当に大切にしてくれてるんだ)
信長様をチラ見する。
「何だ?」
私の視線に気づいて信長様がこっちを見る。
「あの......私の着物とか、その、いつもありがとうございます」
今まで、素直に何かを言った事が無かったから、緊張して信長様の袖を掴みながら必死に言葉を紡いだ。
「礼なら、褥の中でしてもらおうか」
チュっと、頭に軽くキスをされた。
「っ............」
(だからっ、そういう事を言わないでほしい)
何だか、急な甘やかされに戸惑ってしまう。
真っ赤になって固まっていると、
「アヤ、貴様にも見せたいものがある、こっちへ来い」
ある荷物の一角へと連れて行かれた。