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恋に落ちて 〜織田信長〜

第58章 合図



結局、私が悪いんだろうか?

もし、信長様が女友達に私がしたみたいなことをしたら.....か。

そもそも、信長様の女友達って誰?
月華院様?

『月華院ありがとう〜会えて信長嬉し〜ハグ〜』
とか信長様は言わないし、しないし、
それはそれでちょっと面白いかも....

いやいや、妄想で笑ってる場合じゃない。

月華院様と信長様が話している時は、あぁ、二人の間には入れないなぁって思った事を覚えてる。友情とは違う絆が二人の間にはあると思ったから。それに、信長様が一度は月華院様と夫婦になろうとした事が分かった時は、胸が少しだけズキッと痛んだ事も覚えてる。
でも、今回のとそれは違う気がする。


それに信長様が女性に話しかけてる所なんてほとんど見た事ないし(綺麗なお姉さん達と絡んでるのは何度かあるけど......)反対の立場に立って考えるなんて無理だよ。

佐助君や幸にだって、いつも会える訳じゃないのに、会えて感動した事を怒られて外出禁止にするなんて、暴君もいいとこだよ!

考えれば考えるほど理不尽な気がして来て、大好きな針子作業も中々はかどらず、針子達も帰る時間になった為、私も作業を終了して天主に戻る事にした。



天主に戻ると、信長様は既に戻ってデスクワークをしていた。

「信長様、お疲れ様です」

「貴様も戻ったか」

信長様は私の方を見て優しく応えてくれた。

もしかしたら、機嫌が戻ったのかも。

いつも通りの信長様にほっとしながら奥の部屋へと進むと、女中さんの姿が。

「あ、お疲れ様です。いつもありがとうございます」

閨の準備と行燈に火を灯しに来てくれたんであろう女中さんに挨拶をした。

「アヤ様、お疲れ様です」

部屋の準備を終え、彼女は足早に部屋を出ようと立ち上がった。

すると信長様が声をかけた。

「おい、貴様」

そんな事はまずない為、急に呼び止められた女中さんはビクッと体を震わせ立ち止まった。


「「何か、怒られる?」」

恐らく、女中さんも私もそう思った。

しかし、

「いつもご苦労だな、貴様には感謝しておる」

信長様は予想外に女中さんの手を取り、優しくそう言った。


「もっ、勿体ないお言葉、しっ、失礼します」

女中さんは顔を真っ赤にして俯き、恥ずかしさから逃げるように部屋から出て行った。

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