第58章 合図
「何なに?どう言うこと?」
「あ〜、アヤは確かにこう言う事鈍そうだよね」
「どう言う事?」
「う〜ん、反対に、同じような事自分がされたらどうなのってっ事!」
「それは......」
「ね、嫌でしょ?」
「でも友達なら.......」
「でも、城の女中さんにしてたのは、イラついたわけでしょ?」
「っあれは、わざとだから....」
何だか、どんどん形成逆転で不利な感じになってきた。
「それに、嫌ならそう言ってくれればいいのに、そんな意地悪しなくても、しかも外出禁止だよ?」
「あのね、アヤの相手は信長様だよ?」
「だから?」
「今まで女に不自由した事のない方だよ?黙ってたって、向うから勝手に寄って来たような方なのに、アヤの男友達にやきもちやいたからやめろなんて事言える訳ないじゃん」
「そうだよ。そんなの、男として自尊心が許さないんだよ。あ〜、愛されてるねアヤは」
「何か、惚気話をご馳走さまって感じ」
「な、何でそうなるの?解決策は?教えてくれないの?」
「まぁ、アヤがもっと、男心を分かってあげるしかないんじゃないの?相手はあの信長様なんだからさ」
「そうだよー。分かりやすく態度に出してくれてるなんて、可愛いじゃん。まぁ頑張れ」
口々に信長様を応援するみたいな形になって、みんなはさっさと針子作業に戻って行った。