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恋に落ちて 〜織田信長〜

第57章 忍びの旅




佐助君に別れを告げて、信長様と城下を見て歩いた。

「あ、美味しそう、これ食べたい。」

蒸籠で美味しそうに蒸しあがっていた笹団子を買ってもらい、少し寒かったけど、店の軒下に腰を下ろして一緒に食べた。

「んーー美味しい」

熱い白湯と蒸し立てのお団子が、冷えた体によく染みた。

「アヤ、これを食べたら行くぞ。夜になる前に港まで戻らねば、道が凍って通れなくなる」

「はい」

そっか、日中でもこんなに寒いのだから、夜は氷点下だよね。早く戻らないと、どこかにいる光秀さんにも迷惑かけちゃう。

急ごうと思い、焦って白湯を口にすると、

「熱っ!」

思いの外たくさん口に入って来た熱い白湯に舌を火傷した。

「阿呆、急に焦って飲む奴があるか」

「すみません、あっっ、」

舌先がジンジンする。

「どこだ、見せてみろ」

信長様に覗き込む様に顎を持たれたので、チョロっと、火傷した舌先を出して見せた。

「.......これか」
そう言うと、ペロっと、信長様の舌が私の火傷した部分を舐めた。

「なっ、な、何?」

驚きの行為に離れる様に立ち上がると、ドシンと、背後から歩いて来た人にぶつかった。

「っご、ごめんなさい」

もう、踏んだり蹴ったりだ。
自分の行動に呆れながらも、慌ててその人に振り返って謝ると..........

「いや、俺は大丈夫だ.。お前もだい.....................っ」

言葉の途中で、声の主が私を見て固まった。


「....................ゆ、幸!?」


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