第57章 忍びの旅
「やっ、こんな事でごまかさないで、ん」
唇を塞がれると、切ないほどに優しく探られた。
「やだ、.......っん、のぶっ........やっ」
「貴様が黙るまでやめん」
「ふ、んん」
押しても捩ってもびくともしない。
深く入り込んでくる信長様の舌にどんどん呼吸を奪われて、抵抗する力も削がれて行く。
「貴様を戦場には連れて行かん」
「やだ、離れたくない、信長様、っんっ、」
容赦なくまた唇が塞がれる。
帯を解かれ、袷に手を入れられる。
このまま抱いて黙らせようとしているのだと分かるけど、抵抗できるわけもなく、身体は倒されどんどん熱に侵されていく。
我が儘を言ってる事も、困らせてる事も分かってる。でも、離れたくない。
何度も、信長様が戦に行くのを見送ってきたし、今までは血を見る事も恐ろしくて、待っている方を選んでいたけど、一度だけ、あの船の上での戦いを見てしまったから...........
ゲームでもニュースの中の世界でも何でもない。生死を賭けて戦う事の恐ろしさを知ってしまったし、傷付く痛みも知ったから、ただお城で待っているなんてできない。少しでも、信長様の近くで無事を感じていたいのに。
やがて信長様から与えられる熱で、快楽がじわじわと押し寄せてきたけど、
「ふっ、っく、側に居させて下さい、っあ」
必死で食い下がった。
「ならん、貴様にはもう戦を見せたくない」
私を抱いているのに、私を見つめる信長様の目は切なげで..........抱かれている間はこれ以上言えなくなった。