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恋に落ちて 〜織田信長〜

第56章 恋の指南



夜も更けて、天主で信長様が戻ってくるのをそわそわしながら待っていると、湯浴みを終えて信長様が天主へと戻ってきた。


「信長様、お疲れ様です」

抱きついてお帰りなさいのキスをする。

「どうした、ご機嫌だな」

「ふふっ、だって、本当に嬉しい事があったから」

葵と秀吉さんが恋仲になった事を早く信長様と分かち合いたくて、早速今日の事を話し始めようとすると、


「随分と積極的だな。そんなにもかるちゃーすくーるでの事を試したいのか」

思いがけない言葉が信長様の口から飛び出した。


「なっ、何で知って.....」
(その事は絶対に秘密にしておこうと思ってたのに)

「ふっ、貴様がこの城で何をするかは全て把握しておる。貴様は油断ならんからな」

信長様はそう言うと、今日の講義で麻さんが私たちに見せてくれた、講義の内容の紙を袂から取り出して私に見せた。


「あっ、その紙を何で信長様が!私達も持ってないのに」

「俺はこの城の主だ。当たり前であろう」

「ずっ、ずるいっ!」

後ずさる私に対して、信長様は嬉しそうに間合いを詰めてくる。


「迷わずこれを選ぶとは、さすが俺の妻だ。今夜は、貴様の殊勝な心がけに応えてやらねばな」


(ひぃ〜どうしよう)
「やっ、選んだのは私じゃ(いや、選びたかったんだけど、)..................っん」

腰を掴まれると力強く引き寄せられ口づけられた。

ちゅ、ちゅっと、何度も唇を啄みながら舐め回すと、呆気なく唇は離れた。

「........っ信長様?」

もっと深くまで探るような口づけが来ると思っていた私は、急なお預けをされたみたいになった。

「ふっ、物足りなかったか?」

強請るような、残念そうな顔をしていたのだろうか。図星を指されてカァッと顔が熱くなった。


「してやりたいのは山々だが、それではかるちゃーすくーるの成果が如何程かが分からんだろう」


信長様はそう言いながら腰を下ろすと、私をその上に座らせた。


「?」


「口づけの指南も受けたらしいな」

私の唇をぷにぷにと押しながら、ニヤリとその口は、綺麗な弧を描いた。

何だか嫌な予感..........

「成果を見せてみろ」

(やっぱり!!!!)



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