第56章 恋の指南
「だって、あの秀吉様だよ?様々な女性と浮名を流して来られた方だよ?私なんてすぐに飽きられてしまいそうで........」
「葵......」
「あの、変な事聞くけど、アヤはその、信長様とはどんな感じなの?」
「えっ、どんな感じって?」
「その、信長様だって、アヤと恋仲になられる前は安土一女性遊びが激しかったお方じゃない?なのに、今は本当にアヤしか見えておられない事がよく分かるし。閨ではどんな感じなのかなって.....ごめん変なこと聞いて、だけど本当に私、そう言う事には自信がなくて......」
信長様が、安土一女性遊びが激しかったお方とは知らなかったけど、
顔を赤らめながら聞いてくる葵はとても可愛くて、恋する女の子そのもので、本当に嬉しい。
どんなに完璧な女性であっても、好きな人ができるとやっぱり不安になったり、自信がなくなるものなのかもしれない。葵の様に才色兼備でも不安にさせるなんて、やっぱり恋ってすごい。
「正直言うと、私も、床上手の項目が気になって聞きたかったんだけど、恥ずかしくて言えなかったの。葵が聞いてくれて、驚いた反面嬉しかったって言うか........... その、私もそっちの事には自信がないから.....」
過去の女性達はどうかは知らないけど、私は気持ちよくしてもらうばかりで、信長様自身はどう感じているのかは分からない。
もう、手管も体力もないとはっきり言われてしまっているし、葵じゃないけど、飽きられても仕方ないのではないかと思うとこはある。だからこそ、床上手に食いついたわけで..........
「「男の人って、どうされるのが嬉しいんだろう」」
二人でハモるように、口から漏れた。
ぷっ、ふふっ、と私達は二人で顔を見合わせて笑い合い。その後も、色々と男女の事についての悩みを話せる範囲で話し合った。
大好きで大切な友達が、家族のように大切な人と恋仲になった。その事が本当に嬉しくて、ワクワクふわふわした気持ちのまま夜になった。