第55章 怪我の功名
「......確かにそうだな」
信長様も手を止めて、顎に手を置いて一瞬考えたけど、
「後で家康に聞いておく」
シュルリンッ
「えっ、やめないんですか!」
「こやつは、今朝急に貴様の腹に宿った訳ではあるまい、昨夜も、その前も、貴様を抱いたが問題はなかった」
「そうですけど........っん」
耳を甘噛みし、首筋を指が這う。
既に開かれた着物の下は襦袢一枚だけ。
「案ずるな。時間はないが、優しく抱いてやる。そのまま身を委ねていろ」
襦袢の袷と裾から同時に手を入れて弄られれば、身体は一瞬で熱を上げ、信長様を受け入れる準備をする。
「ふ、ぅんっ」
朝だし、明るいし、もし秀吉さんが呼びに来たらとか、色々考えていた思考も次第に薄れて、深く口づけられると、もう何も考えられなくなった。
褥の上で、快楽に身を委ね、欲情に駆られた信長様の顔に魅入っていると、
「それで良い。ただ俺を感じろ」
再び口づけられ、下半身には、ゆっくりと挿入する信長様の熱を感じた。
「ん、....っふ、......ぁっ、......ぁん」
優しく抱かれようが、激しく抱かれようが、弱い所を突かれれば、快楽に飲み込まれるのは同じで............
信長様と共に達しながら、ふと赤ちゃんの事を思った。
信長様との赤ちゃん。
それは、夢に見たあの男の子なんだろうか.....
まだ見ぬ信長様にそっくりな男の子の事を思うと、お腹がくすぐったい気持ちになった。
信長様は、その後急いで軍議へと行き、私は
その日は一日安静にして過ごし、夜は信長様とお腹に手を当て、お腹の子を守る様に一緒に眠った。
・・・・・・・・・
次の日の朝、お腹に鈍い痛みを感じて厠へ行くと、生理が始まっていて、私達の赤ちゃん騒動はあっけなく幕を閉じた。