第55章 怪我の功名
「お腹に赤ちゃん、いるんでしょうか」
全然実感もわかないけど、もう一度手を当ててみる。
「分からん、だが毎晩貴様を愛しておるし、その結晶がここにいても不思議ではない」
信長様は恥ずかし気もなくさらっと言うと、お腹に当てた私の手を包む様に、自身の手を被せた。
う〜、本当に恥ずかしい。本人は何の気無しに言ってるんだろうけど、照れるよー
「ふっ、貴様の方が赤子の様だな」
真っ赤になった私を覗き込む様に笑う信長様。
「だって、信長様が照れる事ばかり言うから」
「まだまだ言い足りん位だ。貴様には、言葉にせねば伝わらんからな」
「もうっ...........んっ」
片手はお腹に置かれたままに、私の頬を撫でる様に顔を寄せ、口づけられた。
言葉でも、態度でも十分な程に愛を囁かれ、もう溶けて無くなりそうなくらいだ。
「気分はもう良いのか?」
「?はい、もう普通です」
「そうか」
シュルシュルシュル.......
(この音はもしかして....)
「.........信長様?」
「貴様が欲しくなった、抱いてから軍議に行く」
「えぇっ!や、秀吉さんに怒られますよ」
必死で帯を解く手を掴んで止めるけどそれは無駄な抵抗で....
「いつもの事だ」
「でも、待って信長様、もしお腹に赤ちゃんがいて、その、いいのか分かりません」
本当に、妊娠すると言う事について、私は何も知らない。生理中は、感染症を避けるためにもしない方がいいと聞いたことはあるけど、妊娠中はしていいのかダメなのかも分からない。