第52章 安土の奇跡
「アヤ、彼奴、やりおったわ」
次の日、閨で寝ている私の所へ信長様が興奮した感じでやって来た。
「どうしたんですか?」
「安土に蔓延っておった病が消えて無くなった」
(えっ?)
「今朝、医師達が診察に行くと、どこの療養所ももぬけの殻で原因を調べた所、全ての者が、昨夜いきなり元気になって家に帰ったと言ったらしい」
《勝手に一つアヤの喜びそうな事を叶えて行くね》
昨夜の天使の言葉を思い出した。
そう言えば、水晶は魔除けのお守りや浄化作用があり、現代でもパワーストーンとして知られていることを思い出した。
彼の本来持つ力で、この安土を浄化してくれたんだ。
「じゃあ、みんな元気になったんですね」
(本当に良かった)
「ああ、この安土で病に臥せっておるのは貴様だけだ」
信長様はそう言うと、呆れた顔で私を見た。
................そう、12月の寒空に湖に飛び込んだ私は、今朝から熱を出して、寝込んでいる。(でも信長様は元気)