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恋に落ちて 〜織田信長〜

第52章 安土の奇跡



「う、ごめんなさい」

「本当に欲のない奴だ、自分より、他の奴等の事を願ったとは」

私のおでこの手ぬぐいを変えながら、信長様がため息をつく。

「っ、あの時はまだ、私は元気でしたから。それにいいんです。こうやって今日は信長様に看病してもらえますから」

本来なら、今だって病気の原因究明の対応に追われて、一緒に過ごす事はできなかったから。一気にみんなが良くなって予定外のお休みを取れたらしい。


「阿呆か、病では貴様を抱けぬ」

本当に残念そうな信長様。

「ふふっ、たまには手を繋いで、その温もりで一日を過ごしませんか」

私は布団から手を出して、信長様の指に絡めた。


「抱くと、汗をかいて熱が下がるやもしれん」

「もう、そんな事あるわけないでしょ!」

「まだ時間はある。夜までには治せ、命令だ」

「どんな命令ですか!」

「..............とりあえず薬を飲ませてやる、口を開けろ」

「ついさっき飲んだばっかりです!」


信長様は、その後も色々と理由をつけては粘って来たけど、結局私の熱は下がらず、一日中看病をしてくれた。

ただ、薬を口移しで飲ませると言う、新たな楽しみを見つけ、これはその後の風邪の時もずっと続くことになる。



3番目の天使は、無事に他の六体の天使達と合流出来たのだろうか。

手違いで日本に来てしまったフランスの天使。

思いがけず天使からもらったクリスマスイブの奇跡を信長様と一緒に体験でき、私たち二人の大切な思い出の一つとなった。


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