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恋に落ちて 〜織田信長〜

第52章 安土の奇跡



「着いたぞ」

信長様の声で辺りを見回す。

港と言っても、こんな時間に船は停泊していなくて........真っ暗だ。

とりあえず馬から降ろしてもらい、抱きしめていた天使に話しかける。

「港に着いたよ。羽がどこだか分かる?」

さっきまで、天主で光って私に話しかけてたことが夢だったのではないかと思えるほど、それはただの水晶の置物で.....それに話しかける私の姿はさぞかし滑稽に見えるんではないだろうか。

「とりあえず、目視できる範囲で探すか」

私の肩を抱き、信長様が一緒に探し始めてくれた。

「ふふっ、本当に夜のデートみたいですね」

どんな時でも、二人っきりで過ごせるのは嬉しい。

「なんだ、ほんとはそれが狙いだったのか?」

信長様が意地悪そうに笑いながら私を覗き込み、触れるだけのキスをした。

「ちっ、違います。本当にこの天使が....光って.......あ、」

信長様越しに見える水の中が一瞬、光った気がした。

「アヤ?」

「この天使、持ってて貰えますか?」

信長様に天使を預けて水辺の方へ歩く。

キラッ、とやっぱり水の底が光った。

「あれかも」

「何も見えんが?」

(私にしか見えないんだ)

「取ってきます」

「おいっ、アヤっ!」

信長様が止めるより早く、私は水の中に潜ってその光るものを手に取った。そして次の瞬間、信長様の手に引き上げられた。

「こんな季節に水に入るとは、貴様は阿呆か!」

ザバッと、水から上がるとさっきまでは感じなかったのに、凍えそうな寒さが襲ってきた。

「ごめんなさい。信長様も足と手が」

「俺の事はいい、それより....」

信長様は、私の手に視線を落とす。
それは、紛れもなく天使の片羽。

「見つけたよ」

信長様が抱える天使の背中に合わせてあげると、まるで磁石のようにぴたっと自然とくっついて、元に戻った。


ピカーーーーッ


突然、信長様の手の中で天使が光り出し、するっと信長様の手から抜け出て本物の天使に変わった。

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