第51章 眠れない日々
確かに、アヤはわーむほーるで500年先の未来から来たのだと言っていた。その後、そのわーむほーるで未来へ帰ると言った事もあったが、俺が阻止した。
そのわーむほーるがなぜ今現れる?奴は帰らぬと言ったではないか。
そこから暫くの記憶はない。
光秀と政宗が俺の両の腕を必死で掴み止めており
我に帰ると周りには無数の屍が.............
昔の感覚が蘇る。
アヤによって抑えられていた残虐な自分が目を覚ました。
アヤを攫った毛利元就はいつのまにか他の船で脱出をし、この船自体も雷にやられて沈みそうになっていた。
「信長様、ひとまずここは」
光秀が俺に船を降りるようにと促す。
「分かった」
船を降り、隊列を組み直すがそこにアヤはいない。
助けられなかった
それどころか反対に、命を救われた。
アヤに、血を流させた。
「信長様、アヤは」
政宗が隊を引き連れ戻ってきた。
「アヤは............」
「アヤさんは、ワームホールにのみこまれました」
俺の代わりに誰かが答えた。
俺を含め、光秀と政宗も刀に手をかけその人物を見る。
「誰だ、貴様......先程も、アヤの側におった奴だな」
敵か味方か、忍者の戦闘服を身に纏う目の前の眼鏡の男。
「俺の名前は佐助と言います。アヤさんと同じ時代から来た者です」
「アヤと同じという割りに、この乱世に馴染んでおるように見えるが」
「俺は、アヤさんよりも四年早くこの時代に来ましたから」
言っている言葉に嘘は無さそうだが.......
「貴様、見たところ忍びの様だが、どこに飼われておる?」
俺の質問に、男はゆっくりと間合いを取った。