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恋に落ちて 〜織田信長〜

第50章 初めての夜



「信長様は、秀吉さんの何かを知っているんですか?」

多分、恋仲の女性がいるって事だよね?
安土一のモテ男に?
凄く気になるんですけど。

「何だ、貴様何も知らんのか?」

「えっ?私の知ってる方ですか?」

信長様は、少し考えて笑うと「そのうち分かる」と言って、おでこに触れるだけのキスをした。


そのキスで、秀吉さんの事で一瞬頭から離れていた現実に引き戻され、またドキドキと鼓動が速くなった。


「.....重くないですか?」

いつも軽々と運んでくれるけど、今日はお祝いという事で打ち掛けを着ているし、政宗の料理をたくさん食べたし.....


「そうだな、重い」

「えっ!!!ごめんなさいっ!すぐに降りますっ、えっ、えっ?んっ」

急いで降ろしてもらおうとジタバタしていると、抱き抱えたまま壁際に寄られ、口づけられた。


「っ、のぶなっ.....んんっ、なにっ?」

重いと言われて、どうしようもなく恥ずかしくて降りたいのに、チュ、チュウ、と音を立てながら舌を絡め、唇ごと吸い取っていく。
少しお酒の味がする信長様の口づけに、くらくらする。


「ふっ、重いのは当たり前だ。貴様の人生をこれから一生背負っていく重みがあるからな。軽くはない。だが気分は良い」


「...........っ」

どうしよう..........,.かっこよすぎる。


「........もう、これ以上、信長様の事を好きにさせないで下さい」

感動してちょっと涙目になりながら、信長様と見つめ合った。


「まだまだだ。貴様の愛は全然足りん。もっと、俺の事しか考えられんようにしてやる」

不敵に笑うと、また天主に向かって歩き出した。


好きって無限だ。
そしてそれを知る事が出来る程好きになれる人に出会えて、その人もまた私を好きだと言ってくれて、結婚をして...
すごい奇跡だ。


「大好き」

あんな素敵な言葉をくれても、私はいつもこの言葉しか返せない。
だから、ありったけの想いを込めて、信長様の首に手を巻き付け、耳元で囁いた。


私を抱き抱える信長様の手が一瞬ピクっと反応したけど、立ち止まらずそのまま天主へと戻った。

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