第50章 初めての夜
そんなこんなで宴会は楽しく過ぎて行き、信長様の密着度がどんどんエスカレートして来て、それを見かねた秀吉さんが声をかけてきてくれた。
「信長様。夜も更けてまいりましたし、そろそろ...........」
「......そうだな、アヤ天主へ戻るぞ」
「はっ、はいっ」
どうしよう........なぜか緊張してきた。
さっきからずっと密着されて、髪や頬を触られてるからか、信長様がいつも以上に艶っぽくて、野性味を帯びていて、ドキンドキンと胸がうるさい。
「こっちを向け」
「えっ........っ」
向く間も無く、顎を掴まれペロンと唇を舐められた
「なっ、なっ、えっ?」
かぁぁぁぁーーーーと身体中が一気に熱くなる。
流石の秀吉さんも一瞬固まったようで、
「コホン、えー信長様、ですから家臣の前であまりそのような事は」
「ふんっ、貴様も身を固めたらどうだ?少しはその堅物さが取れて丸くなるやもしれん」
そう言いながら、信長様は私の背中と膝裏に手を入れて抱き抱えながら立ち上がった。
「わっ.........」
もう、誰の顔も見れない。
人前でお姫様抱っこされる事に慣れる日なんて来るんだろうか?
「俺の生涯は信長様に捧げております。妻を娶る気はありません」
秀吉さんは真剣な顔で信長様に答えている。
「..........そうか。俺が知らぬとでも思っているのなら、やはり貴様はサルのままだな」
「っ........」
言葉を失い、心なしか動揺気味で、顔が少し赤くなったような秀吉さんを横目に、私たちは広間を後にした。