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恋に落ちて 〜織田信長〜

第50章 初めての夜



「まっ、待って信長様、私たち今戻ったばかりですよね」

「だから何だ」

「えっ、片付けとかあるし....」

「俺はない」

「わ、私はあるんです!それに今すると、これが初夜になっちゃいますよ」

(どうだ!)

「貴様は阿呆か、初夜のやは夜と書くんだ。だから今は初夜にはならん」

「なっ、なんて屁理屈を....」

万事休すと思った時、

「コホン」と、聞き慣れた咳払いが一つ。

信長様は分かりやすく チッと舌打ちした。

「何だ秀吉、取り込み中だ」

「お取り込み中の所失礼しますが、無断でお休みになられた分、信長様には仕事が沢山用意されておりますので、宴の準備が整いますまで、こちらの書簡全てに目を通していただけますでしょうか?」


引く気は無いとばかりに、秀吉さんも両手に抱えきれない程の書簡を持って、信長様の机の上にドサっと置いた。


「アヤ、針子仲間が針子部屋でお前を待っていたぞ」

怖いくらいに、私には笑顔の秀吉さん。これは、早く出て行って邪魔をするなという事だろう。


「はっ、はいっ。私も無断欠勤したし、みんなに挨拶してきます」

正直助かったと思いながら信長様の体からすり抜けて立ち上がった途端、パシッと、信長様に腕を掴まれた。

「アヤ、今抱き損ねた分は、夜に付けておく。逃げきれたと思うな」

「.......っ」

何とも怖い一言を貰った。


でも、漸く一年前の関係や空気感に戻れた様な気がして、戸惑いながらも、信長様の頬に分かりましたのキスをして部屋を出た。


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