第50章 初めての夜
「はっ?」
(何て言いました?)
「初夜が楽しみだと言ったんだ」
「.......とっくに、初夜、済んでますよね?」
こんな言い方も会話としておかしい気もするけど、私たちの初夜は、一体いつと言えば正解なんだろう?
初めて抱かれた日?
心を通わせ合った日?
結婚した直後の岐阜城の天守閣?(いやあれはそもそもお昼で初夜とは言わないのかも.....)
「あれは旅先だ。初夜はこの安土でするからこそ意味がある」
いや、だからもう安土では数え切れないほど致しておりますが.......
「今夜は覚悟しておけ」
「えっ........ん」
反論するなと言いたげに口を塞がれた。
結局覚悟しろと言いたかっただけなんじゃ.....
理由をつけなくたって、私に反論する術も、上手くかわす術もないのに。
「お、お手柔らかにお願いします」
無理をして、長いお休みを取ってくれた信長様は、きっと明日から秀吉さんに捕まって離してもらえないに違いない。
だから今夜は、信長様が満たされるまで抱いてもらおうと、覚悟を決めた。
・・・・・・・・・
城下を抜け、お城に到着した。
「.............っ」
城中のみんな?と思しき人数の人が頭を下げて、私たちの帰りを待っていた。